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子供の療育環境は運で左右する

      2018/10/02

典型的

(この記事は、2013年11月20日に書いたものです。)

 

「自閉症」と診断された子が知り合いの孫でいるので、相談に乗ってあげてほしいと母に頼まれました。

 

母の知り合いがどういう人なのかも知っているし、療育のスタンスなどもまず合わないだろうなと思っていたので、最初はあまり気乗りはしなかったのです。

 

ヤンキーとの対峙

 

自閉症と診断されたEくん。お母さんは元ヤンキー。

 

私は中学時代、ヤンキーの人たちに漫画を貸したりして、なんとかイジメられないように過ごしてきましたが、貸した漫画が返って来ないことも多く、それでも催促もせずにヘラヘラしているヘタレでした。

 

 

私の通った中学が荒れていた方なのかどうかはわかりませんが、ナイフを持ってきている人や、ライターを持ってきている人もいて(女子なのに!)、学校へ行くのがとても怖かったです。

 

そんなヤンキーにトラウマのある私ですが、自分も発達障害児の子育てで苦労してきたこともあり、話だけでも聞こうと思って元ヤンのお母さんとその子供に会ってきました。

 

元ヤンのお母さんは、見た目がかなりギャルっぽく、「発達障害児の母」という共通点以外、私との接点は何もありませんでした。
私とその方が一緒にいるのは、外から見たら、不自然極まりなかったと思います。

 

しかし、話してみると、私に救いを求める感じが多分にあり、子供のことを何とかしたいという気持ちが伝わってきたので、何か力になれたら、と思うようになりました。

 

典型的な自閉症の子

 

ミニカーを並べる

 

Eくんは現在4歳で、はっきり発音できる単語は10個くらい。多動でこだわりが強く、電車が大好きという、典型的といえば典型的な自閉症のお子さん。

 

市の健診で指摘されて児童相談所へ行き、自閉症の疑いがあると言われて病院を紹介され、その病院で正式に自閉症と診断を受けたそうです。

 

しかし、お母さんは自閉症という診断に納得がいっていない様子で、そのうち普通の子に追いつくと思っているところもあり、療育には消極的な印象を受けました。

 

お医者さんに自閉症と言われているのに、書籍などで、その障害について知ろうとしないお母さんは、療育センターでもけっこう見てきました。

今回会った元ヤンのお母さんも、こちらが基本的なことが書かれている本を何冊か見せても、ぱらぱらっとめくって、「何から調べていいかわかんないんですよね」と言いながら本を置いてしまいました。

 

「とりあえず何か読んでみよう」という発想がないわけですねぇ。

 

私はそれほど頭のよい主婦ではないけれど、本を読む習慣だけは幸いにもあります。
前の記事にもある通り、私の親は本を読まない人でしたが、何故か親の影響は受けずにおりました。

 

しかし、本を読む人が素晴らしい人なのかといえば、そんなこともないと思います。

 

本を読まない人は、コミュニケーション力で人生をなんとかしてきた人が多いと思うのですが、私なんて、もっさりとしているヘタレなので、本を読んで時間を潰したり、本でコミュニケーションを学ぶことしかできなかったのです。

 

図書室で本を読んでばかりいた私は、何人かではしゃいで談笑している女子がキラキラして見えていました。

 

ヤンキーだった人も、ガチで人間関係をぶつかり合って学んでいるので、青春を謳歌しながら実践で生きている人なんだと思います。

 

と、読書論に話がそれましたが、情報を自分で集めない人に、どう療育の大切さを伝えるかってところを考えたのですが、私はスーパーでのデモンストレーション販売を思い出し、今、その場で療育の結果を出して見せてあげようと思い立ちました。

 

書字課題を実際にやってみた

 

そこでやって見せたのが、前の記事にも書いた、「たこ」の書字です。

 

その場で手帳の紙を切って、ペンでたこの絵を描き、同じ大きさの白い紙を多めに切って用意しました。

 

自閉症児Eくんのお土産にと、持ってきていたたまごボーロを強化子として、その場で即席のABA課題の取り組みをはじめました。

 

最初は着席の課題からはじめ、私の前に着席させてペンをにぎるだけでたまごボーロ1個をあげました。

 

着席課題が安定してできるようになると、今度は紙に指示通り線を書く課題に移り、「たて」と「よこ」の声かけで、ヘロヘロな線ですが、線を書けるようになりました。

 

そして、最終段階での「たこ」の書字。

 

2回失敗しましたが、3度目で「たこ」に見える書字が書けるようになりました。

 

元ヤンのお母さんは目を丸くしてびっくりしていました。

 

「10個しか単語が言えない子が文字を書くなんて!」という心の声が聞こえて来そうなほど、「すごい!」を連発していました。

 

 

成人になって発達障害を診断された人たちのブログを見たことがありますが、自分も療育というものを受けてみたかったという人はたくさんいます。

 

Eくんのお母さんに、療育の大切さが伝わっているとうれしいです。

 

 

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あきらめないで! 自閉症 幼児編 (健康ライブラリー)
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