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発達検査(K式・田中ビネー)は事前に対策して結果の向上を図るべきか

      2019/01/05

田中ビネー

(この記事は、2013年9月3日に書いたものです。)

娘のさやは6歳なので、市の教育委員会の就学相談に定期的に行っているのですが、7月に2年ぶりの発達検査、田中ビネーⅤを、見た目のチャラい臨床心理士の先生から受けまして、先日その結果を聞いてきました。

 

「~したらどうしますか」が鬼門に

 

全体の数値としては前回IQ116、今回IQ114と、前回受けたときとさほど変化がないのですが、6歳級の理解「問題場面への対応」のところで一つも正解せず、前回もこのような項目は正解できていないので、さやの苦手な部分がそこに表れているのだと思います。

 

「電車に乗り遅れたらどうしますか?」という問いの模範的な答えは、「次の電車に乗る」なのですが、さやの場合は「家に帰る」と答え、不正解に。
「間に合わないから帰ろ」という人も中にはいるかもしれませんね。
「電車に遅れたから会社さぼっちゃおう」、みたいなノリで。ゆとり世代の社会人とか。

 

「お母さんに買い物を頼まれて、お店へ買い物に行ったら、お金が足りませんでした。どうしますか?」という問いの模範的な答えは、「家にお金をとりにいく」らしいのですが、さやは「別のお店に行く」と答え、不正解でした。
まぁ、別のお店にもっと安いものが売っていることもあるんですけどね。

 

3歳のときのK式発達検査でも「おなかがすいたらどうしますか」と聞かれて答えられなかったし、「~したらどうしますか」はさやにとって鬼門みたいです。

 

発達検査の結果から支援級と通常級の選択を考える

 

「問題場面への対応」が適切に答えられなかったことに表れているのは、イメージする力の弱さだと思うのですが、IQが100を超えていても定型発達の子とすべて同じようにはいきません。
支援級、通常級、どちらを選んだとしても、配慮が必要な子なので、学校側へ理解を得られるよう働きかけることは必要です。
いろいろ誤解されそうな子なので誤解のないように伝えるのが難しいのだけど。

 

そういえば、同じ療育センターの子のお母さんたちとも、発達検査についての話が話題にのぼりますが、「通常級に行かせたいから、今、文字や数を一生懸命教えているのよ」と言っていた人のことが強く印象に残っています。

 

発達検査の前にいろいろやって数値を上げようという考えのようだけど、発達検査ってその子の苦手なところを把握するためのものだと思っていたので、何だか不思議な感じがしました。

 

私も数や文字は教えたけれど、発達検査を想定してやってきたことではありませんでした。
最初は定型発達の子に追いつけばいいな、という思いでしたが、今は過敏で不安の多さが目立つ子なので、語彙を増やし、概念を身に付けて少しでも不安な場面を減らしていきたいという思いが一番です。

 

杉山登志郎先生の「発達障害の子どもたち (講談社現代新書)」という本に、発達障害の子が、特別支援級で学ぶことを肯定的に書かれているのを読んだことがあるので、私の中では、就学時の状況でどちらでもいいと思って今まで過ごしてきました。

 

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)
発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

 

発達検査の結果が低い数値だったとしても、親が特別支援級を希望しなければ、無理やり支援級に入れられてしまうこともありません。
説得はされるかもしれませんが、無理やり決定する権限は、教育委員会にはないのです。

小学校によっては、善意に溢れる素晴らしい支援級もありますが、問題教師がいるトンデモな支援級もあり、どうしてもそのトンデモ支援級に入れたくなくて、お母さんが学校に一日じゅう付き添って通常級に在籍している子を私は知っています。

 

療育を受けている子のほとんどは、就学前は発達検査を受けますが、苦手さを把握することによって、就学時の支援につなげていく、という趣旨が正しい見方なのだと思います。

 

訓練によって発達検査の数値をある程度上げることは可能

 

しかし、発達検査を3回経験して思うことは、ある程度の数値を上げることは、訓練によって可能だということです。

 

たとえば、田中ビネーに頻出する「反対ことば」ですが、私はたまたま、くもんの「反対ことばカード」というのをさやに見せて、何度もクイズのように出し、覚えさせていたことから、さやは反対ことばは全問正解します。

 

反対ことばカード
反対ことばカード

 

別に発達検査対策でやっていたことではないですが、結果的に対策になってしまった、ということはあります。

 

模倣してひも通しする課題も、ふだんからやっていましたが、これも意識せずに自然に対策になってしまったことです。

ウソでしょ、と言われそうですが、本当に、私は無意識にそれらの課題を選んでやっていただけなのです。

 

最初にK式発達検査を受けたときは、実年齢から1年程度の遅れがありましたが、そこから1年後の田中ビネーでIQ116なので、療育センターの心理士の先生にも驚かれたし、最近、教育委員会の心理士の先生にも「これはすごい伸びだね」と言われました。(ただ、さやのような短期的に検査数値が上がるケースは、お子さんの検査結果を公表している人のブログを読むかぎりでは、いることはいます。)

 

意識的か無意識的かは別にして、家でやっていた療育が発達検査に直結している自覚はあるので、私の知人のように、子供の発達検査の数値を少しでも上げたいと思っている人には、「数値を上げることも可能ですよ」とは伝えられそうです。

 

ただ、何度も言うとおり、発達検査の数値を故意に上げようとすることに意味があるのかは、私には謎です。

 

 

余談。田中ビネーを「田中ビネガー」と間違えて言っている人が身近にいましたが、そんな酸っぱいものじゃないですよね。

 

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