序列としての数の認知が難しい自閉症児(発達障害児)への取り組み
(この記事は2013年12月9日に書いたものです。)
自閉症圏内のお子さんの場合、数の序列(1,2,3・・・)を認知するのは、どちらかというと得意な子が多いと思います。
カレンダーボーイ(何年も先の年月日が何曜日であるか瞬時で言える子)とまでいかなくても、療育センターには数字の好きな子が何人かいます。
一般的に、子供がはじめて出会う数の概念は「序列」で、その後に「量」を認知できるようになることが多いようです。(「量」の概念を獲得するための取り組みは動画で以前、紹介しました)
「序列」としての数を認知
「序列」としての数を認知するために、以前の記事で、くもんのすうじ盤を使ったマッチングのことを紹介しましたが、未だに娘のさやは、50から先の数字の序列を言うのが苦手です。
幼稚園で、クラスのみんなで100まで数を数えるとりくみがあるのですが、数が50を過ぎたあたりから、さやの口が口パクになっているのを参観日のときに発見しました。
くもんの数字盤は30までのものと50までのものと100までのものがあり、我が家は30までのものを買いましたが、今は、100までのにすればよかったというのが正直なところです。
さやが通っているABAを用いた個別指導の教室には100までのすうじ盤があるので、家では30までで十分かなーと侮っていました。
たいていのお子さんは、30くらいまですうじ盤でのマッチングを続ければ、そのうち数の規則性に気づいて30より先の数を容易にカウントできるようになるそうです(くもん式の先生が言っていました)。
しかし、さやの場合は違ったみたいです。
50より先の数をしょっちゅう間違えるし、10までの数も、1からでなく、途中の数字から数えさせるとなかなか正しい数字が出てこないときがあります。
自閉圏の子だし、まさか序列でつまづくとは思っていませんでした。
そこで、個別指導の教室の先生が、すうじ盤のマッチングの他にやって下さっている課題を紹介します。
間の数字を埋めていく
マルの中に数字を書かせるのですが、最近ようやく全問正解するようになりました。
最初は、以下の写真のような小さい数字でマルをうめていく課題をやっていました。
さやが一番、間違えるところは、9のつく数の次の数です。39の次が40だということが、すぐに出てこないときがあったのです。
上のような写真の課題を、毎日やっていると記憶として定着するのですが、同じ課題ばかりだと飽きるので、しばらくやらないで、1週間して序列の穴埋め課題をやったりすると、また不正解のオンパレードだったりします。
算数のLDなのでは?と疑いたくなるのですが、臨床心理士の先生が言うには、「そんなことはないと思う。まだ6歳だからこれから伸びるよ」とのことでした。
まあとにかく、気長に同じ課題を繰り返すしかないと思います。
ですが、同じ課題を繰り返すと飽きてしまうので、適度に別の課題を入れていきます。
(余談)くもん式を長く続けられなかった子の話
余談ですが、いろんな所に「くもん式」の教室があると思います。あらゆる地域に。
「くもん式」を長く続けられなかった子の話しを聞いたことがありますが、一度つまづくと、同じ箇所のプリントをずっとやることになるので、やる気をなくしてやめてしまったのだそうです。
さやは、注意を持続させるのが難しいところがあるので、上記の序列の課題も、正解が定着していなくても毎日行うことはせず、足し算や引き算、そして最近では掛け算の課題などの新しい課題も出しながら日にちをおいて取り組みます。
発達障害の子だけでなく、子どもはみんな、「ほんの少し」難しい問題ができるとうれしいものです。
掛け算といっても、1×1、2×1、2×2といった簡単なものしかやらせませんが、机に向かって課題をやり、集中力が伸びていくことが何より大切です。
それが、序列の認知が定着していないからといって、毎日序列課題ばかりだったら、机に向かうことが嫌になってしまいます。
話が、集中力の話にそれてしまいましたが、最近、療育センターで一緒のお子さんのお母さんに、数を覚えさせたいという相談を受けて、すうじ盤の話をしたのですが、お奨めするすうじ盤が、お子さんの認知段階によって違うということに改めて気づきました。
何個もすうじ盤を買う必要はないので、現時点において、お子さんがどの段階にいるかで決めればよいと思います。
以下に、私の考えた、お子さんの認知段階別のすうじ盤についてまとめました。
磁石すうじ盤30 | 10まで数えられない子。 指先の操作が拙く、 鉛筆でしっかりした線を 書けない子。 |
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磁石 あいうえお盤 (すうじ盤50) |
10まで余裕で数えられる子。 文字に関心があるか、 ひらがなをいくつか読める子。 |
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くもんの磁石 すうじ盤100 |
数字を数えるのが好きな子。 20まで余裕で数えられる子。 |