「発達障害なんていう精神疾患は存在しない」というトンデモな医師(内海聡氏)について
この記事は(2014年1月10日に書いたものです。)
たまたまネットの検索で調べ事をしていて、見てしまった記事があります。
「発達障害なんていう精神疾患は存在しない」という医師
facebookの記事をまとめたサイトなのですが、そこには「発達障害なんていう精神疾患は存在しない」という医師の書いた文章が転載されていました。
たくさん本を出している方なので名前を挙げますが、内海聡という医師で、経歴を見ると元々は内科のお医者さんだったようです。
内海聡氏のトンデモな意見
私が見た、内海氏の文章を以下に要約します。
発達障害・ADHD・アスペルガーなどの病名をつけられた、子供にや親に会ったり話したりする機会がある。
子供たちのそのような現象の主な原因の一つは、間違いなく「親」。
そのような子供を持つと言う親御の特徴として、「子供からのコミュニケーションを全然受け取っていない」というのがある。
これは発達障害と診断された親の100%に共通した現象。
そのような親は抑圧的であり、まとめると以下のよう。
「親の言うことは絶対に聞かないといけない」
「予定変更をしてはいけない」
「あなたはそういう病気だから、こういう風にしないといけない」
パニックになると、
「あーもう、この子は病気だからー」
ADHD、発達障害なんていう精神疾患は元々は「存在しない」。
親がその病気を作ってるだけ。そして親たちは決してそのことを認めることはない。
だから医者である私があなた方親を診断する。
「バカな発達障害」♡と。
何の根拠もない意見
おそらく、この内海聡という医師はそれほど多くの発達障害の人に会ってはいないと思います。
「100%に共通した現象」と言い切ってしまうほど、統計をとってもいないし、そもそも児童精神科医としての経験も実績もないので、いいかげんで信憑性に欠ける発言としか言いようもありません。
発達障害をはじめ、多くの脳疾患について、研究者はfMRI(機能的磁気共鳴画像法)などを駆使して日々、客観的な根拠となるデータを積み重ね、障害や疾患の解明に努めています。
何の調査もせずに、たまたま自分が出会った人間関係に対する印象だけで一つの障害自体を否定するのは、非常に浅はかなことだと思うのです。
1960年代前半頃まで、自閉症の原因が親の育て方や愛情不足などと言われてきたことはよく知られていますが、内海聡氏の主張も、古い時代の自閉症のとらえられ方とよく似ています。
内海氏は、思考が1960年あたりで止まってしまい、新しい情報を受け入れないタイプの人なのでしょうか・・・。
炎上商法にひっかかる人々
普通に「内海聡」と検索すると、2チャンネルで議論されているのをまとめたものがあちこちに出てきます。
「炎上商法」というスレッドタイトルがついているものもあって、私もまさにその通りだと思うのです。
出した本が売れて有名になりたいだけ。
しかし、怖いなと思うのが、このfacebookの記事に「いいね」をつけている人たちとそのコメント。
発達障害が存在しないというのを肯定しているわけですから。
診断名がついて、障害に合わせた適切な対応をして落ち着いた子が存在していることも、断片的な情報しか見ていない人にはわからないのでしょうね。
医師という資格を持っているだけで簡単に信じてしまう人がいるから本も売れるのでしょう。
私は、子供の生まれつきの障害を受け入れることは、子供の心に寄り添って生きていくことだと思っています。
発達障害の子供を「障害は存在しない」ものとして放置するのは簡単かもしれませんが、やがて社会で不適応を起こし、見て見ないフリもできなくなるときがやってきます。
杉山登志郎先生はじめ、発達障害についての代表的専門医の書籍を読むと、本当に、子供のことをよく観察しておられると関心します。
医師にもいろいろな人がいます。見極めは重要です。