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大阪市立南住吉大空小学校「みんなの学校」を見て。特別支援のあり方。

      2019/04/25

木村泰子

(この記事は2014年1月18日に書いたものです。)

 

第9回日本放送文化大賞・準グランプリ受賞作品として「みんなの学校」というフジテレビのテレビドキュメンタリーを見ました。

以前に放送された番組で、受賞を記念しての再放送のようです。

 

評判のよい学校ゆえにメディアに取り上げられる

 

すべての子どもに居場所を作り、特別支援が必要な子供も一緒に学び合い、地域の人も子供を支えるような学校を目指した学校。大阪市立南住吉大空小学校の1年間が記録されていました。

 

不登校ゼロ

 

 

障害を持つ子も通常級で学んでいる学校ということで、大空小学校は注目され、ニュースで取り上げられたことをきっかけにこのドキュメンタリーが制作されたそうです。

 

 

「不登校ゼロ」という取り組みを実現した大空小学校には、他の学校よりも多くの特別支援の対象となる子供達が在籍しています。

 

大阪市では学校選択制の導入が進んでいるせいか、大空小学校には特別支援の対象となる子供達が、多く通っています。

 

自閉症などの発達障害や身体的な障害をもつ子も通常級で一緒に学ぶには、いろいろスムーズにいかない場面も多いと思います。

 

そんな場面でも、自然に手助けする子供達の姿がありました。

 

集中が続かず、ふらふら教室を出ていく子がいたときは、他の子供がサポートし、勉強がわからなくて困っている子がいたら、分かる子が教える。

 

「ちょっと自分と違う友達たち」が抱えている「今、困っていること」が何なのかを考え、思いやることのできる子供達の姿はとても素晴らしかったです。

 

今年の4月から、私の娘さやは小学校の特別支援級に通います。
もし、私の住む地域でも学校選択制があったとして、大空小学校のような学校が地域にあったとしたら・・・。

 

たぶん、私もさやも大空小学校は選ばないと思います。

 

特別支援のあり方

 

 

田中ビネー式知能検査の結果などから、教育委員会や小学校側からは通常級を勧められていました。

 

しかし、特別支援級と通常級をさやと一緒に数回見学した結果、私もさやも特別支援級を選びました。

 

もちろん、さやが「通常級に行きたい」と言えばそのようにしましたが、「人が少ないところにいたい」というさやの気持ちにブレはありませんでした。

 

 

聴覚過敏など、敏感さとともに、不安定さを持つような子の場合、「みんなと一緒」の時間ばかりだと疲れてしまうこともあるかもしれません。

 

さやには落ち着ける場所が必要と考え、通常級とは別室になる特別支援級を選びました。

 

発達障害の症状も人それぞれなので、支援級にしろ通常級にしろ、自分の子に合ったところならどちらでもよいと思います。

 

その点、大阪市のような学校選択制は、子供の適性に合わせて学校を選べるのはよいことですね。

 

私の子には合わないところがある学校だけれど、大空小学校の取り組みは立派です。

 

これは木村泰子校長のなせるワザというか、情熱と根気と行動力のある人だからこそ、大規模な教育改革が実現できたのだと思います。

 

大規模な学校改革は模倣しにくい?

 

特別支援級の子とそのきょうだいにつきまとう中傷やいじめの問題がありますが、私の住む地域の小学校で、あるお母さんが「学校全体の子に障害のある子のことや支援級のことを理解する機会」を設けるよう、学校側にお願いしたことがあります。

 

それに対して学校側は「そんなことしたら余計にいじめが起こりますよ」と言ったそうです。

 

確かに、一度や二度、道徳的な話の延長で障害や支援級の話を子供たちにしても、「ちょっと自分と違う友達たち」についての理解は難しいと思います。

 

大空小学校の教室には、担任の他にアシスタントティーチャーと呼ばれるボランティアの先生がいるそうですが、障害のある子とそうでない子にトラブルがあったとき、大人がしっかり介入して、経験を理解に変える手助けができています。

 

しかし、一般的な小学校の大人の数だと、いちいち先生が介入するのも難しいし、トラブルがあったら当事者の子供たちには我慢をしてもらうことが多いような気がします。(私の住む地域では、の話ですが)

 

木村泰子校長の、すべての子供が安心できる居場所づくりとして実現した「みんなの学校」ですが、まずは教職員全員に働きかけ、次に地域のボランティアに働きかけ、さらに子供たちにも他の困っている子を助けるよう働きかけるという、非常に大規模な学校作りはなかなか真似できるものではありません。

 

 

完全な真似はできませんが、木村校長の「心意気」に影響を受けた教育者は、日本のどこかにきっといると思います。

 

「みんなの学校」が教えてくれたこと~学び合いと育ち合いを見届けた3290日~
「みんなの学校」が教えてくれたこと~学び合いと育ち合いを見届けた3290日~

 

後記

 

2015年2月に映画「みんなの学校」が公開されました。

全国で上映会を実施しているようなので、近くで催されたときは、是非見たいと思っています。

上映会と木村素子校長の講演会が一緒に開催されることもあるようなので、多少遠くても講演と上映がセットの機会はお得な気がします。

 

 

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