IQが高くても特別支援級を希望する場合
2019/01/05
(この記事は2013年11月28日に書いたものです。)
私の娘、さやの来年の小学校就学にあたり、通常級にするか、特別支援級にするのかを長い間迷っていました。
そして、教育委員会の就学相談を重ねていくうちに考えが固まっていき、この度、特別支援級を希望することに決めました。
IQやら主治医の意見やら
IQ114と、知能的にはやや高い方に位置しているようですが(ギフテッドというほどではないです。平均より若干上ぐらい)、音に敏感なところや、対人関係で我慢ばかりしているところなど、今の幼稚園生活から見て、最初のスタートは特別支援級の方が本人の負担は少ないだろうと思いました。
私の住む地域では、支援級を希望するには、市が指定する書式で医師の意見書を提出する必要があります。
そこで、定期的にさやの発達を診ていただいている児童精神科の先生に、意見書の依頼をしました。
さやの通っている児童精神科は、かなり遠くの市にあり、電車とバスを乗り継いで行っています。
教員委員会で検査した田中ビネーの結果も持参し、意見書を先生に書いていただきましたが、先生は、
「このIQだと、この辺の地域の小学校はまず、支援級には入れないんだけどね~」
と言いました。
行政の特別支援に対する考え方
地域によって、支援級に入れる基準は違いますが、私が住む地域では、IQが高くても、親が希望すれば入級は可能です。
ただ、IQが高い場合、教育委員会と入学予定の小学校から、度重なる説得はあると、療育センターの先生から言われました。
特別支援教育に対する、行政の考え方というのを聞いたことがありますが、特別支援はお金がかかるから、IQがそこそこある児童は通常級+通級、小学校の支援級と特別支援学校が迷われるような児童は支援級というように、できるだけお金がかからない方へ導かれることが多いのだそうです。
説得を何度も受けるにせよ、結果的にはIQが高くても支援級へ入れてくれる地域に住んでいてよかったです。
と、ここでは書きましたが、支援級に入ることを「よかった」ことととらえない人がいることも私はよく知っています。
支援級=IQの低い子という世間一般の考え方
さやのIQの数値について、このブログでは明かしていますが、実際は親しい人にも言わないようにしています。(あたりまえですね。)
このブログは、発達障害の子を育てる方が、何かの参考になればと思って書いているので、IQの伸び方などをお伝えすることも大事だと思うからです。
療育センターで、昨年まで一緒だった、さやより学年が上のお子さんのお母さんに会うこともありますが、支援級を希望したことを伝えると、「うちの子だって田中ビネーの結果はあまりよくなかったけど、通常級で楽しくやっているから、さやちゃんだって通常級に入れるわよ」と言われたりします。
そんな会話で、さやのビネーの結果を伝えるのは反感を買いそうなので、「検査の結果だけではなくて、敏感さとか、いろいろ難しいこともあるのよ」と返しています。
支援級=IQの低い子という図式が、世の中に浸透しているんですね。
療育センターで会う子の中に、会話はできるけど、多動だったり、自由すぎたりする子がいますが、そのお母さんは通常級に進路を決めています。
集団の中で、子供が楽しく過ごしていれば、母親というのはそれほど心配はしないのかもしれません。
療育ってなんだろう?と思うことがありますが、療育で確かにIQは伸びると思います。
感覚統合的なことも療育センターで散々やりましたが、敏感さや、心の不安定さはなかなか消えていかないものですね。
さやが3歳の頃から療育をしてきて、支援級の希望を出すことは少し勇気がいりました。
療育をはじめた当初は、発達の遅れが顕著だったので、「これから就学までの時間をフルに使って療育を頑張って、小学校で通常級へ行けたら」という思いもありましたから。
でも、実際にさやの通う小学校の支援級を見学して、「学校という枠内にとらわれない育て方もあるかも」、という考えが私の中で芽生えてきました。
さやの通う学校の支援級は、知的と情緒のクラスにパーテーションでわかれているのですが、情緒のクラスの子が4人いて、その内2人はとても勉強ができるのです。
2人とも学年より上の勉強をしていて、1人は2年生なのに中学校で習う範囲の勉強をしています。
さやは、算数が苦手なので、私が支援級で見たスーパーキッズのようになるとはとても思えないのですが、本人のペースに合わせて勉強をさせてあげようという支援級の先生の思いに心を動かされました。
それにさやが通う小学校は、支援級から途中で通常級に籍が移る子も珍しくないようなので、さやが小学校に慣れて、自分で希望したら通常級へ転籍してもよいかな、と思っています。
この判断が正しかったかどうかは時が経ないとわからないことですが、6年間という長い小学校生活を、できるだけ穏やかな気持ちで親子ともに過ごせることを、願っています。
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