ABAによる療育は3歳までに始めなければ効果がないのか
2019/02/07
(この記事は2013年11月30日に書いたものです。)
このブログでも度々触れているABA(応用行動分析)ですが、早期集中療育で大きな効果があるとされています。
では早期とはいつ?
日本のABA指導の組織として一番有名なのは「つみきの会」ですが、そちらのサイトでは、ABAの創始者ロバース博士の研究結果を引用し、週40時間の1対1の療育(ABA)を受けた2~3歳の自閉症幼児が結果的には一番効果があったと説明しています。
以前の記事でも紹介した奥田健次先生の個別相談の開始年齢は5歳以下で、言葉の獲得については1~2歳代で開始するのがベストであるとサイトに書かれていますが、あまりに相談依頼が殺到していて、「相談開始年齢を3歳以下に引き下げようか」ということが、以前、奥田先生のブログに書かれていました。
子供が3歳までに療育に本腰を入れる人は、そんなに多くはない
療育センターに4年在籍していて思うことですが、発達障害の診断を受けることに躊躇し、診断が就学直前になる子もわりといます。(もちろん就学後になる人もたくさんいるでしょうね)
発達専門の病院が地域にない場合、離れたところの病院を受診しなければならなかったりしますが、面倒臭がりなお母さんだと、「うちの子は発達が遅れていて、自閉っぽいな」と心で思っていても、そのまま診断を受けずになんとなくの気分で療育センターに通っていたりします。(しかも療育センターを休みまくる)
要するに、子供が3歳までに療育に本腰を入れる人は、実際にはそんなに多くはないということです。
ABAのはじめの一歩は
では、ABAというのが、気づきが早く意識の高いお母さんの子供だけに実践される、特別なものかといえば、そんなこともないと思います。
以前の記事にも書きましたが、情報を得てもそれを活用できない人はたくさんいます。
ABAについて書かれた本など読んでも、何からやればよいかわからないし、その情報量だけに圧倒されてしまい実践できない人。(本を集中して読めない人も)
そういう方は、情報量が多いからできないと思わないで、自分の子供について、そのとき一番「何とかしてあげたい」と思うことから始めればよいのだと思います。
言葉を話しているかどうか、というのはその最たるものだと思いますが、「じゃあまず、言葉の訓練だけでもABAを取り入れてみよう」と、的を一つに絞ってやってみてはどうでしょうか。
それで、少しでも効果がみられれば、自然と、あれもこれもABAでやってみよう、という意識に変わってきます。
ABAは子どもが6歳になっても実践できる
子供が6歳くらいになっていて、「うちの子にABAをやるのは手遅れね」と思ってしまうお母さんも中にはいるかもしれません。
しかし、ABAは人間や動物の行動、すべてに及ぶものなので、言語や認知だけでなく、生活全般に応用できます。
「自閉症児のための明るい療育相談室ー親と教師のための楽しいABA講座」という奥田健次先生と小林重雄先生の共著がありますが、排泄から学校でのことまで、生活全般のABAを用いたアドバイスが書かれています。
自閉症児のための明るい療育相談室ー親と教師のための楽しいABA講座
もちろん、つみきの会などに入会して、2~3歳から週40時間の個別療育をプログラム通りに実践するのは理想的なことですが、そこに至らない人が大勢いる現実を知っているので、上記のようなことを書いてみたわけです。
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