ADHDの多動と自閉症の多動の違い(療育で多動は改善するのか)
(この記事は2013年12月13日に書いたものです。)
私の娘、さやは4歳前は、多動がとても激しい子でした。
外では勝手にどこかへ行ってしまうし、手をつながないし、目に入るものすべてが気になる感じで、走り回っていました。
家の中でもおもちゃでじっくり遊ぶことはせず、おもちゃを手に持って投げるだけでした。
そして、部屋中を常にうろうろしていました。
多動があまりに激しいので、医師の診断前は、ADHD(注意欠陥多動性障害)かな、と漠然と思っていました。
ADHDについて、それほど詳しく知っていたわけではないのですが、テレビで得た情報などで、「とにかく動いて落ち着かないのがADHDなのかな」と勝手に思っていました。
ADHDの多動と自閉症の多動の違い
さやが、アスペルガー症候群と診断されたとき(現在ではアスペルガーは自閉症スペクトラム障がいに含まれるようになりました)、「じゃあ、この多動は何?」と思ったので医師に質問したら、「自閉症やアスペルガーでも幼い頃は多動になることがある」ということでした。
その後、アスペルガー関係の本を読み漁ったわけですが、確かに自閉圏の子も幼少期は多動のある子がいるのだそうです。
半信半疑だった医師の診断ですが、今となってはアスペルガーで合っていると思います。
感覚の過敏さや、変化への不適応があるところなど、ADHDではないと思います。
言葉でいろいろなことを伝えるようになって、さやが何を苦手としているのかがこちらもはっきりとわかってきたようなところがあって、日ごろ、さやが私に訴えることを聞いていると、「やっぱりアスペルガーなんだな」と思うことがよくあります。
診断当時まだ3歳で、診察室で激しく動き回っているだけのさやに対して、的確な診断がよくできたものだなぁと、今となってはその医師に感心しています。
療育で多動は改善する?
以前の記事にも書きましたが、さやの多動は4歳を過ぎたあたりから改善してきました。
多動ではなく単に元気がよかっただけでは?と思われる方もいるかもしれませんが、児童精神科ではじめて診断を受けたときの医師が、「これは相当、育てにくい多動だね。こんなに動くと毎日大変でしょ?」と言っていました。
また、診断後、さやが通ったABAを使って指導する個別教室の先生も、最初にさやを見たとき、「この多動はどこからくるのかなぁ」とはっきり「多動」と言っていたので、本当に、第三者が見てもわかるような多動だったのです。
私の子供はADHDではないので、ADHDのお子さんを持つ方の参考になるかどうかはわかりませんが、自閉症が原因の多動である場合には、私のブログで紹介していることが、ほんの少しはお役に立てることもあるかもしれません。
療育センターで3、4歳の多動のお子さんを見ると、子供を追いかけてばかりでヘトヘトだった頃の私を思い出します。
「多動は小学校の3年生以降に治まる」というような情報をよく目にしますが、それよりも前に治まった子もいますよ、ということで、一生懸命、療育に取り組んでいる方の希望になればと思い、書きました。
ADHDにしろ、自閉症にしろ、情報を整理するのが苦手なところは変わらないと思うので、一つ一つの課題にしっかり取り組んで、情報を整理する力につながればよいですね。
ADHDのお子さんは、言葉の遅れがなかったケースが多いそうなので、「言葉が出てるからまぁいっか」という判断のもとに、療育を受けられなかったお子さんの例は、自閉圏の子よりも多いということを、何かのテレビで見たことがあります。
3歳くらいから療育(特にABA)をしっかりやったADHDのお子さんが、その後どのように成長しているのかを知りたい気がしました。(私の検索力で知りたい情報をゲットするのはなかなか難しい)
最近のADHDについての議論の動向
最近、療育センターの親の控え室の本棚に、「薬を飲ませる前にできるADHDの子どもを救う50の方法」という本が追加されたので、読みました。
心理学者で教育者のトーマス・アームストロング氏の著書ですが、この方はウィキペディアの記事「ADHDに関する論争」の「ラベリングの功罪」のところに名前が出てくる人です。
最近アメリカで盛んに行われている、ADHDに対する議論の動向をチェックしている人には、よく知られている名前かもしれません。
具体的な対処方法が書かれているわけですが、50項目あって、もう少し詳しく書いてくれないかな、という箇所もいくつかありました。
それでも、タイムアウト(問題行動の後、別の部屋に連れて行き、一人で反省をさせる時間を与えること)をペナルティーとして使うとADHDの場合は何の効果も得られないということなど、新しい考え方もいろいろ提案してあって、読み応えのある本でした。
アメリカのADHDのお子さんの大半が、医師から処方された薬を飲んでいるということを聞いたことがありますが、日本でも、ADHDのお子さんを持つ親は医師から薬を提案をされると悩むことも多いと思います。
薬を飲む飲まないということはとりあえず置いておいて、この本にあることを実践してみて、それでも本人に困難がある場合は検討してもよいのかもしれません。
まずは、やれることをやってみよう、という発想が大切ですね。