「自閉症スペクトラムとこだわり行動への対処法」という本の感想
(この記事は2013年12月28日に書きました。)
臨床心理士であり療育者として豊富な経験のある白石雅一 先生の「自閉症スペクトラムとこだわり行動への対処法」という本を読みました。
私の娘、さやはアスペルガー症候群(現在は自閉症スペクトラム障がいに含まれます)と診断されていますが、生育暦の中で、こだわり行動は多々見られました。
3歳の頃は消防のポスターにこだわって、公園やいろいろな施設に貼ってある消防のポスターを見つけると、その前から頑として動こうとしなかったり、療育の先生も、特定の先生しか受け付けなかった時期があります。
6歳になった今では、家の中だけで、自分の好きなことに対するこだわりを満喫し、幼稚園や療育センターでは、大人を困らせるようなこだわりがなくなりました。
今はこだわりよりも、同一性保持の傾向からか、物事の変化や新しい事に強い不安を感じ、その不安について訴えることがよくありますが、パニックになるほどではありません。
こだわり行動というのは、本人の心の安定に役立っている一面もあり、他社に害を及ぼさなければ認めていくべきものかと思っていましたが、こだわりにはポジティブな面だけでない一面もあることを、この本を読んで改めて知りました。
それは、こだわりを続けることで、物事の変化に対して適応していく柔軟性が損なわれ、人間関係の発展も阻害するということです。
この本には、頑固だったこだわり行動が、適切な導きによって改善し、情緒面でも安定した事例なども紹介されています。
自閉症スペクトラムの人が持つ「こだわり行動」は、340もあることが書かれていますが、それら1つずつを丁寧に分析しています。
この本の対象となっている自閉症スペクトラムの人の年齢は、乳幼児から大人までと幅広いです。なので、これから、さやの成長に応じて、行き詰まりを感じたときなどにまた手にとって読み返したい本です。
障害の程度も重度の自閉症から、アスペルガー症候群などの軽度の人まで幅広く対象としています。
文章も、率直な表現で読みやすく、白石先生の人柄が覗えるような感じがしました。
よい本に出合えてうれしかったです。