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睡眠障害のある発達障害児について(2)

      2019/01/08

錠剤

(この記事は、2014年1月1日に書いたものです。)

 

前回の記事で、夜驚症の出現によってロゼレムを中止したところまで書きました。

 

ロゼレム中止後、娘のさやの中途覚醒に付き合う日々の中、書店で「自閉症は漢方でよくなる!」という本を見かけました。

 

自閉症に効く漢方?

 

自閉症は漢方でよくなる! (健康ライブラリー)
自閉症は漢方でよくなる! (健康ライブラリー)

 

最初は、タイトルがタイトルなだけに、「またまたぁ、騙そうと思って」と疑いの目で見ていたのですが、疑っていて も書店だと手にとってしまいますね。

 

アマゾンの「本のおすすめ」のところにこの手の本があったらスルーしそうですが、書店では、「嘘っぽいところを見つけてやるぞ」という軽い意地悪な気持ちとともにパラパラとめくってしまいました。

 

大柴胡湯(だいさいことう)が自閉症の改善に?

 

この「自閉症は漢方でよくなる!」という本のあちこちに「大柴胡湯(だいさいことう)」という漢方薬のことが出てくるのですが、著者である飯田誠先生は、長年の児童精神科医としての経験で、大柴胡湯(人によっては抑肝散との併用)が自閉症の症状を緩和するというのが大筋でした。

 

実は、さやは小柴胡湯(しょうさいことう)という漢方を飲んでいた時期があります。

2歳から3歳にかけて、中耳炎を繰り返していて、耳鼻科嫌いのさやを病院に連れて行くのはとても大変でした。

耳鼻科では、中耳炎に対して抗生剤を処方するのみなのですが、それを飲んでもちっとも良くならないし、ネットで抗生剤以外の方法がないか調べました。

そして、慢性的に中耳炎を繰り返す場合には小柴胡湯が有効であるという情報が耳鼻咽喉科のページや健康関係のサイトなどに多数あったので、小柴胡湯を試してみたわけです。

ネットの広い世界では「中耳炎を繰り返す場合には小柴胡湯」という情報が多数あったとしても、抗生剤しか処方しない地元の耳鼻科では処方は無理な気がしたので、市販の小柴胡湯を子供量、飲ませてみました。

小柴胡湯を1ヶ月近く飲ませましたが、中耳炎に再び罹ることはなかったので、効いていたのだと思います。

 

小柴胡湯は大柴胡湯と成分がよく似ているので、「自閉症は漢方でよくなる!」という本で大柴胡湯の名前を見たときに、特に違和感も危険な感じもしませんでした。

 

というわけで、私はこの本を購入し、大柴胡湯を試してみることにしたのです。
効かなければ飲むのを止めればよいことなので。

 

大柴胡湯と睡眠障害

 

自閉症  飯田誠

 

大柴胡湯は睡眠障害の子には特に早く効果が表れるというようなことが本に書かれていたのですが、さやに飲ませてみたところ、飲んだその日は夜中に一度起きるだけでした。

そしてしばらく飲み続けたところ、夜中に一度も起きずに朝までぐっすり眠る日も出てきました。

 

その後、数ヶ月してまた夜驚症が復活したり、寝つきが悪くなったりして、大柴胡湯の量を増減して様子をみていますが、1週間のうち、4日間くらいは朝までぐっすり寝ている感じなので、完璧ではないけれど、概ね効果はあると考えています。

 

抑肝散(よくかんさん)は興奮しやすい?

 

飯田誠先生の「自閉症は漢方でよくなる!」には、大柴胡湯の他に抑肝散(よくかんさん)のことも書かれています。

抑肝散は子供のひきつけや夜泣きなどで小児科で処方されることもあるような一般的な漢方薬ですが、飯田先生はほぼ90パーセントの自閉症の人に大柴胡湯と抑肝散の合方を処方して、効果を得ているそうです。

 

抑肝散は名前の通り、興奮を鎮めるような抑制系に働くことが多いようですが、飯田先生の本にも少しだけ書かれていますが、稀に興奮しやすくなる人もいるようです。

そしてさやもこの稀なケースに当てはまってしまって、抑肝散を少量でも飲むと、眠れなくなります。

 

眠れなくはなるのですが、抑肝散をさやに飲ませると、日中は穏やかで、癇癪やイライラもなく、一緒にいてこちらもとても過ごしやすくなるので、なかなかよい薬だと思いました。

しかし、眠れないのは本人も私も困るので、お試しで数日飲ませただけで、今は飲ませていません。

抑肝散が抑制系に働いて快眠につながるケースの方がうらやましいところです。

 

漢方に高いハードルを感じる人もいる

 

ここまでをお読みになった方は、自閉症の漢方治療を私が薦めているように思うかもしれませんが、私はお手軽にできることしか薦めないので、主治医の薬が効いている方は、それでよいと思います。

 

さやは睡眠障害の中でも、重度な方だと思います。

ロゼレムで睡眠障害の問題が解決した人もたくさんいる中、さやはそうではないし、日中に興奮しすぎたり、翌日に対する予期不安が強い日などは何をしようと、とうてい眠れません。

6歳の子供なのに。

 

それに漢方薬というものに対して高いハードルを感じている人も多いと思います。

私は子供の頃から葛根湯(かっこんとう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)といった一般的な漢方薬を飲んでいた経緯があったので、漢方薬は身近にあるものだったのですが、多くの家庭ではそうではないということは、大人になってから知りました。

置き薬屋さんが母の友人にいる関係で、私の実家には置き薬の入った引き出しがありました。

その置き薬屋さんが漢方薬に詳しくて、なかなか治らない症状があると、いろいろな漢方薬を紹介してくれていたようです。

私は子供の頃からの習慣で、風邪のひきはじめには葛根湯、症状が出てきたらパブロン、長引いたら柴胡桂枝湯といった飲み方をしています。

そんな風邪の治し方の話を、ママ達の集まりで話したら、えらく珍しい人のように言われたので、「我が家の普通はよその普通であらず」ということをしみじみ感じました。

 

漢方薬は本格的な漢方薬局だと煮出して飲む煎じ薬で、病院だとツムラの顆粒が一般的で、どちらも子供にとって飲みやすいものではないと思います。

 

記事が長くなってきたので、飲みにくい漢方薬をさやに飲ませるために工夫したことなどは次回に書きたいと思います。

 

 

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