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自閉症児の不登校・不登園の性質と原因を見極める(親の対応) ~幼稚園転園の悲しみ(2)

   

自閉症

K幼稚園からY幼稚園に転園した娘のさやですが、過去の記事に加配の先生と職員室で長い時間過ごすことが、よいことなのかどうかという疑問が生じたことを書きました。
集団の中になかなか入れなったことで、親としても新たな心の葛藤がありました。

 

1年間、集団に入らず加配の先生と二人きり

 

Y幼稚園は療育センターと友好関係にあるわけですが、自由に職員室で過ごせることは、元々は療育センターから指導があってのことのようです。

気持ちの切り替えなどに、自閉症児に集団とは別の空間を用意するような試みは、小学校の支援級でも見られることがあるようなので、あながち間違ったことではありません。

しかし、あまりにも頻繁に別空間を利用することは、幼稚園や小学校のカリキュラムをほんの少しも吸収しないわけですから、この別空間の利用にはある程度のルールが必要です。

同じ療育センターに通っているて、なおかつ同じ幼稚園になったお母さんたちには「幼稚園に行けるようになってよかったね」と言われましたが、そんな単純に喜べることでしょうか。

職員室にばかり行っているのが最初の1~2ヶ月くらいなら、新しい「幼稚園に慣れる」という意味合いもあるので仕方ないとは思いますが、まる1年近くというのは、いかんせん長すぎです。
幼稚園の保育料をドブに捨てているようなものです。

加配

 

さやはK幼稚園に不登園になってから、精神状態が不安定だったので、何事もしばらくは無理をしてはいけないような感じはありました。
だから、職員室に入り浸っている状態について、幼稚園に意見を言うことにためらいがありました。

 

ヒントを与えてくれたテレビ番組

 

もやもやした気持ちのまま、月日が過ぎて行ったのですが、幼稚園も3学期に突入し、進級に向かっている時期に、偶然見た2つのテレビ番組によって、私の意志ははっきりと固まりました。

 

一つは過去の記事にもとりあげた、ETV特集(「人とうまくつきあえない ~いじめや虐待と自閉症スペクトラム~」で、自閉症児のフラッシュバックがEMDRという器具で治療できることを知り、フラッシュバックを恐れる必要がなくなったことです。

 

もう一つは、NNNドキュメント「孤高の出張カウンセラー 自閉症の子どもを救え」です。臨床心理士の奥田健次先生を追ったドキュメンタリーですが、不登校児へのコンサルテーションなども行っていることを知り、奥田先生の著作に興味が沸きました。ホームページやブログなどでも奥田先生の考えを知ることができましたが、不登校についてのアプローチが、私がそれまで読んできた本とは大きく違いました。

奥田先生の著作「メリットの法則」に不登校についての記述がありますが、天秤の絵が描かれていて、学校へ行くことと自宅で過ごすことを様々なメリットとデメリットを載せて天秤にかけている状態がわかりやすく解説されています。

 

メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)
メリットの法則――行動分析学・実践編

奥田先生の機能分析では、不登校について、(1)学校を休むと家で遊べる 、(2)母親と一緒にいられる 、(3)学校に嫌なことがある 、(4)(1)~(3)が複合している場合、という4通りの分析をしています。

 

私は、さやが職員室で過ごしていることを、(4)の複合のケースに該当し、最初は(3)だったことが、(1)にシフトしていると確信しました。

さやは、K幼稚園でフラッシュバックを経験し、Y幼稚園に入った当初は不安がいっぱいだったと思います。
しかし、K幼稚園にいた頃のように悪夢を頻繁に見ていないし、幼稚園で朝から帰りまで泣き続けているようなことはありません。

そうです。職員室で過ごすことが癖になったのです。

私はそのことに気づくのに1年近くもかかってしまったわけですが、気づいたら後はやるべきことをやるだけです

職員室で過ごす時間をできるだけ短くするために、私がとった手段についてはまた次に書きたいと思います。

 

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関連記事(2):自閉症の子をABAで遠隔操作 ~幼稚園転園の悲しみ(3)
関連記事(3):自閉症児の不登校・不登園の性質と原因を見極める ~幼稚園転園の悲しみ(2)

 

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