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学校や幼稚園の先生も、何気にABAで強化する

   

強化

(これは2013年8月30日に書いた記事です。)

前の記事で、先生にほったらかしにされないためにやっていることがあると書きましたが、今日はそのことについて書きます。

 

意思の疎通がなかなかうまくいかない幼稚園の先生

 

自閉症スペクトラム障がいなど、発達障害の子の場合、幼稚園で視覚的な情報を提示してもらいたい、ということもあるかと思いますが、娘のさやの場合は、ひらがなでその日のスケジュールをホワイトボードに書いてもらっています。

年中のときの先生は、ひらがなで書いたスケジュールを1学期までは用意していたようですが、2学期の途中で、なくなっていたようです。

 

親としても本人としても、スケジュールの提示は続けてほしいと思っていたので、何故なくなってしまったのか謎だったのですが、面談のときにその理由を尋ねたら、「もういらないかなって思いました。就学に向けてない方がいいかと思いました。」と言っていました。

 

私は、この先生の答えに愕然としました。

年中のほとんどは職員室にばかり行ってたことは過去の記事で書きましたが、さやにとって必要なツールをなくすことが「就学のため」というのもおかしな理屈です。

小学校には時間割というものがあるし、スケジュールにそって行動することは全く悪いことではありません。

ましてや、さや本人が「必要」と言っているのだから、イヤーマフと同じように、必要なものなのです。

 

さやは幼稚園へ行く直前によく言う言葉が「幼稚園てどんなところなの?」なのですが、年少から幼稚園を経験している子なのに、何をイメージしてよいかがわからないのです。

発達検査でも、経験したことのない場面をイメージすることの困難さがよく出ているのですが、経験したことでも、時間がたつとイメージが曖昧になるのか、不安になるのです。

 

親に相談もなく、勝手なことばかりの先生でしたが、先生の方が、親と関わりたくない感じが見てとれたので、私の方も、あきらめモードで1年を過ごしてしまったところもあります。

 

しかし、年中のときの1年があまりにも不毛な気がして、年長の先生がどんな先生であろうとも、こちらの意思が伝わるまで努力しようと決めました。

 

年長の先生を連絡帳で褒めまくる

自閉症スペクトラム

 

4月に年長の1学期がスタートしたその日に、連絡帳3ページ分ほどの長い文章で、視覚的な情報がさやにとっていかに大切か、ということを書き、年中のときに職員室にばかり行っていたけれど、本人と職員室へ行きすぎないための約束(実は内緒のトークン)をしたことなどを書きつつ、文章の半分は先生へのお礼と褒め言葉でした。

年中の3学期の最後の方に、年長での新しい担任が発表されるのですが、発表されたその日から、年長での担任の先生はさやとコミュニケーションをとってくれました。

そのことをとりあげて、「事前に優しく関わって下さってありがとうございます」ということと、さやが、先生と関わると、家でどんなにうれしそうにしているか、ということを大げさに書きました。

 

さやは幼稚園で大人しいので、先生から話しかけられても、黙っていることもあり、話しかけた大人としては、手ごたえがなくてだんだんと話しかけなくなっていくような気がしていました。

 

そこで考えたのが、「先生に話しかけられると家ではうれしそうにしている」作戦で、幼稚園から帰ってきたさやに、「今日先生と話した?」としつこく聞き、先生についての情報が少しでも得られると、それを連絡帳に書き、「〇〇して下さってありがとうございます」と綴ります。

 

電話で先生と話すことがあると、「さやは話しかけられて、黙っていることもあるけれど、あれでいて実はうれしいんですよ」と伝えます。

この作戦をとったことで、さやも年長の担任が大好きになり、「T先生(年中の先生)よりよく説明してくれるから安心する」と私に言うようになったので、作戦は大成功だったと思います。

 

風邪薬の服用のことなど、何気ないことを連絡帳に書くときも、本題に入る前に必ず先生にお礼の言葉からはじめるようにしています。

お礼することがなくても、さやにしつこく先生とのやりとりを聞き出し、その情報を「感謝」の方向にもっていきながら書きます。

 

ようするに、先生に対してもABAをやっているのです。
過去の記事に奥田健次先生の「メリットの法則」を紹介しましたが、先生に注意や苦情を言うよりも、良い行動を褒めることで強化する方がお互いにとって合理的なのです。

 

連絡帳 幼稚園

 

先生の「良い行動」を見つけ出す

 

参観日などは、先生の行動の強化材料がたくさん転がっている日です。
子供の様子を見ることも大事ですが、先生のよい行動を見つけだすことにも注意を注いでいます。

 

幼稚園の参観日は親子で製作をすることが多いのですが、製作には先生が先に作った見本があり、手順が大きな紙に図解で書かれていたりすることがあります。

その図解がいかにわかりやすかったかを後で連絡帳に書き、「先生の発達障害の子への視覚支援は素晴らしいと思います」と結ぶと、こちらがお願いしなくても視覚支援にさらに気を使ってくれたりします。

 

おかげで年長に入ってからの先生との関係は親子共々良好で、先生の方からお電話いただく回数も年中の頃より増え(年中は役員の依頼のときだけしか電話をもらったことがない)、先生から積極的に私に話しかけてくれるようになりました。

 

ABA(応用行動分析)は発達障害の子だけに有効なわけではなく、人や動物全般に効果のあることなので、広く生活に応用できたらと思っています。

 

子供も先生も、そして私も、よい行動が増えますように・・・。

 

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 - ABA, 幼稚園