人と一緒に遊びたがらない自閉症児は一人で遊んでいればよいのか~模倣への発展~
自閉症の子すべてが一人遊びが好きというわけではないけれど、おもちゃで遊んでいて、誰かがそれを手伝ってあげたり、遊びを発展させてあげようとすると、今までの遊びをやめてしまう子がよくいます。
さて問題です。
自閉症の子が人と一緒に遊びたがらない場合、ずっと一人遊びをさせておいてよいでしょうか?
放っておきがちだけれど・・・
療育センターで曜日が一緒のお子さんNちゃんは、最近、ブロックで形を作れるようになったということで、Nちゃんのお母さんはとても喜んでいました。
以前のNちゃんは、ブロックをはめていくことはせずに、並べるだけだったので、Nちゃんのお母さんが、「こうやってはめるのよ」とそばで教えてあげると、Nちゃんはどこかへ行ってしまったのだそうです。
ブロックで形を作れるようになったNちゃんの成長について、Nちゃんのお母さんは、「この子は人に干渉されたくないから、放っておいたほうが、いろいろ出来るようになるのよ」と言いました。
Nちゃんは5歳ですが、話せる言葉は単語が少しくらいです。療育センターに通うのは、5歳からのスタートです。
子供というのは、専門的な療育をしなくてもそれなりに成長はしますが、Nちゃんが自分の世界だけで獲得していく成長は、療育して得る成長よりもゆっくりかもしれません。
自閉症の幼児には、人と無関係に行動するようなところがあります。
私の娘、さやにも4歳くらいまではそのような傾向がみられました。
模倣の獲得をし、人を意識させる
療育センターとは別にさやが通っていた教室(ABAを使った個別療育)の先生は、さやとの距離を保って、さやの行動を真似ていくようなことを療育の初期段階でよくやっていました。
さやが絵を描くと、先生もさやの絵を真似して書きます。
さやがひも通しをすると、ひもに通したパーツの順番を、さやがやるのと同じに通していきました。
さやが積み木を積むと、先生も同じような色と形で合わせて積んでいきました。
大人の方が、子供のやることを真似していくことが、模倣の獲得にも必要で、人を意識させることにもつながるのだそうです。
教えるよりも、こちらが真似をする、というのが自閉症療育の第一歩なのかもしれません。
私はさやが3歳当初、教室の先生がやった通りに、さやがやることの真似をよくやっていました。
積み木やブロックは、さやの積み方によっては同じパーツがなくなったりしたので、下の画像のように、色の順番だけ合わせてみるとか、共通項や規則性を見つけて対応していました。
こちらが真似をすると、どこかへ行ってしまう場合
積み木やブロックなどの遊びをこちらが真似しはじめると、どこかへ行ってしまうお子さんもいるかもしれません。
そういうときは、どこかへ行ってしまわないようなお子さんとの距離をいろいろ試して探ってみるとよいかもしれません。
この距離なら大丈夫、というラインがきっとあります。
自分の真似をしている誰かの存在に気づきつつも、まあいっかと思っているような様子を子供が見せたら、ほんの少しだけ距離を縮めます。
子供に、「真似をしているだけで、妨害はしない」ということがはっきりわかってくると、子供の目の前やすぐ隣りで子供の遊びの真似をやっていても、逃げたりしなくなります。
そしてそのうち、「この人は自分の真似をちゃんとやっているかな」と意識的に大人のほうを見てきます。
こうして、一緒に遊ぶと逃げられてしまうような関係は改善されます。
ということを、Nちゃんのお母さんに話したのですが、私は「先生」という資格も持っておらず、何の権威もない人の話なんて信用されないのが世の常です。
「ムリムリ。あの子が遊んでいるときはそっとしておくのが一番なのよ」とNちゃんのお母さんは結論付けていました。
わかってくれる人がわかってくれれば・・・それで・・・いいです。(涙)