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自閉症児(発達障害児)の他害行動について考える。対応の仕方など。

   

ADHD

(この記事は2013年12月26日に書いたものです。)

 

発達障害児だから他害があるにちがいないと決めつけられることがある

 

私の娘、さやはアスペルガー症候群(後に自閉症スペクトラム障がいに含まれるようになります。)と診断された発達障害児なのですが、発達障害児だというだけで、他害があるに違いないと決め付けられたことが、今までに2度ほどあります。

 

 

1度めは、さやが年少のときに通った幼稚園の、入園前の面談で、診断名などをこちらから伝えたときに、「他害なんかはありますか?」と聞かれて「以前はありましたが、今は全くありません」と答えた直後に、「他害は集団の中ではあると思いますよ。絶対に」と言われたときです。

(ちなみに年中のときに転園した幼稚園では、他害について事前に聞かれるようなことはありませんでした。)

 

2度めにさやのことを「他害のある子」と決め付けたのは、同じように発達障害のお子さんを育てているお母さんですが、この件は話が長くなるので省きます。

 

決め付けられて、怒り心頭なのかといえば、そういうわけでもなく、ただ残念と思うだけです。

実際に、深刻な他害行動を伴う発達障害児はいるし、発達障害児が世間でクローズアップされる場面は誰かに迷惑をかけたときが多いので、「すべての発達障害児に他害行動があるに違いない」という間違った認識もあり得る話だとは思います。

療育センターに通っているうちに、他害のある子とそのお母さんとも親しくなり、家に遊びに来たりすることも多々あるので、さやが他害児だと決め付けられて私が怒るのは、療育仲間を裏切るような気持ちにもなり、「世間の認識はこんなものなんだ」と一般論としてとらえるだけに留めています。

 

相手を傷つける前に徹底的に阻止する

 

ADHD

 

さやは3歳のときに遅れてきた「イヤイヤ期」のような時期があり、私に対してやたら反抗的で、公園や子育て支援センターなどの遊び場でも他のお子さんに手が出てしまうことがありました。

 

手が出てはいましたが、相手のお子さんに危害が及ぶ前に私が止めていたので、実際にさやの暴力によって傷ついた子は一人もいませんでした。

 

叩きそうになれば、さやの手を私が掴んで阻止し、モノを投げつけようとしたときは、相手に当たる前に阻止したので、他害が盛んな時期も、被害者はゼロで済みました。

幼稚園年少の入園前には、他のお子さんに手が出ることは、完全になくなっていました。

 

他害があっても他の子から遠ざけない

 

さやに他害の行動がみられた当初、「これは困ったぞ」と思った私は、ネットなどで対策を調べました。そして実行したのが「他害があるからといって、他の子供から遠ざけたりしない」ということでした。

 

保育士さんがアドバイスするサイトで、「他の子に手が出てしまっても、その場その場で大人がしっかり、いけないことであると教えることで、次第にやらなくなる。

他の子から遠ざけてしまうと、学習する機会が奪われてしまい、手が出る行動は長引いてしまう」というようなことが書かれていたので、それを信じて実践してみたわけです。

 

しかし、発達障害の子にみられる他害行動が、この方法ですべておさまるのかと言えば、そうとは言い難いものがあります。

 

自閉症児(発達障害児)の他害への対応は一律ではいかないことも

 

他害 対応

 

保育士さんの他害に対するアドバイスは、さやがアスペルガーであることを診断される前に見て、実践したことなのですが、診断後だったら、別の専門家のアドバイスを参考にしていたかもしれません。

 

たまたま、障害のない普通のお子さん向けのアドバイスが、さやの他害をやめさせるのに役立ったかもしれませんが、療育センターで他害のある自閉症のお子さんの様子などを見る限りでは、この方法だけでは難しい気はします。

 

自閉症のお子さんには、痛みに鈍感すぎたりする子もいますが、その場合は、相手の痛みへの理解も遅れていくことがあるかもしれません。

 

また、他害が「阻止されたこだわり」に結びついているときは、対応が一律ではいかないこともあるかもしれません。

 

ABA(応用行動分析)は問題行動を減らすために有効な方法ですが、私の体験として「ABAで子供の他害が治りました」とはっきり言えないところが残念です。

同じ療育センターで、ABAを家庭での療育に取り入れたのは我が家の他には一人しかおらず、そのもう一人も他害をする子ではないので、経験としては何もお伝えできません。

 

応用行動分析で有名な奥田健次先生の著作にも他害のことは書かれていますが、実際に奥田先生がカウンセリングしているお子さんのことが例に出されているので、専門家の指導なしに家庭で簡単に他害が治る方法というのはなかなか見つかりにくいかもしれません。

 

ただ、一つ言えることは、他害が成長とともになくなる子と、そうでない子がいて、体が成長した力のある人が他害をした場合、被害は大きいということです。

 

「伝える力」の未熟さが他害につながることも

 

他害をする子の中には、言語などの「伝える力」が未熟な子がいて、自分の意思を伝える方法を暴力に置き換えている子もいます。

 

そのような場合は、言語の発達を促しつつ、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)などの絵カードで自分の気持ちを表す方法を身につけることで他害が治まる子もいます。

 

言語の発達が期待できない重度の障害のお子さんは、PECSでのコミュニケーションを徹底してもよいかもしれません。

 

伝える力が十分にあるのに他害をする子というのももちろんいて、後々、反抗挑戦性障害と診断されるような子もそれに含まれるかもしれません。

 

反抗挑戦性障害の場合

 

ADHDなどの発達障害のお子さんで、反抗挑戦性障害を併発している子がいますが、そういった子の他害の抑止も簡単ではなさそうです。

 

反抗挑戦性障害には、コンサータなどの薬が効いてよくなる子もいれば、薬が全く効かない子もいるそうです。

 

療育センターに通っても、他害が治らない子はいます。

療育も受け、家庭で他害をなくすための取り組み(ABAなど)をやり、さらに医師に薬を処方してもらっても効き目のないという八方塞りのお子さんがいたとしたら、それは他害による被害をなくすための環境作り(他のお子さんと距離を置く)をするしかないのかもしれません。

 

ただ、そこまで他害に対して「あらゆる方法」を試している人というのは、私のまわりではいません。

それは私の子供が幼児で、療育センターの子供たちも幼児なので、ぶったりひっかいたり噛んだり物をぶつけたりしても、大きな怪我にいたることはそれほどしょっちゅうないので、他害をする子のお母さんも「そのうちなんとかなる」と思っている節があるような気もします。

 

奥田健次先生は著作や発言の中で、子供はいつまでも子供ではない、というようなことを言っていますが、子供の身体が大きくなって、他の人に大怪我をさせる前に、まだ力が弱く体の小さいうちになんとかしようという考えがあるのかもしれません。

 

早期療育を否定する論調の意見を見かけることもありますが、大きくなっても他害をする人のケースを考えたときにも、早期療育を完全に否定できるものなのか、見解を知りたい気がしています。

 

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