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倉持由香主演映画「タリウム少女の毒殺日記」のモデルはアスペルガー症候群の少女

      2019/04/11

倉持由香

(この記事は2014年2月20日に書いたものです。)

 

2005年にタリウムという毒物によって、16歳の少女が母親を毒殺しようとした事件がありました。

 

静岡県で起きた事件なのですが、静岡出身の私は、少女の通っていた学校も知っていましたし、管轄の警察署も前を通ったことのある場所だったりして、身近に感じた事件でした。

 

静岡でも、少女の住んでいた場所と私の出身地は近いとはいえないのですが、少女の通っていた高校は県内でも有数の進学校なので、私の通っていた中学からも、勉強のできる子が毎年一人か二人合格し、学区外にもかかわらず遠距離通学をしていました。

 

事件が発覚するまで、少女はアスペルガーと気付かれなかった

 

この事件で、家庭裁判所は「少女はアスペルガー症候群で、一連の犯行はアスペルガーによる影響が大きい」として医療少年院送致を決定しました。

 

少女がアスペルガー症候群であるとわかるのは、鑑定留置のときだったので、事件が発覚するまで、誰にも発達障害と気づかれることはありませんでした。

 

化学に興味があって、化学部に所属していた少女ですが、毒薬を動物に与えて弱っていく様を観察し、その様子をブログにアップしたりしますが、やがて、それは動物だけでは留まらず、人である母親も観察対象となったわけです。

 

子どもの趣向を良い方向に導く

 

この事件の少女は、親子関係に問題はなかったと報道されていましたが、本当にそうなのかな、と私は思いました。

 

以前、アメリカの小学校で起きた銃乱射事件のことを書きましたが、犯人の青年は、本やゲームなどの趣向が破壊的なものに向けられていたので、そのことを度々報道されたりしていました。

 

しかし、家に銃のコレクションをしていたのは母親の方で、息子と射撃場へ行ったりもしていました。

 

親が子供の趣向をある程度わかっている場合、健全な方へ導いてあげることはできないものでしょうか。

 

武器に興味があるのなら、警察の仕事や銃の製造会社を見学させたりして、できるだけ破壊ではない方向へ導くとか。

化学に興味があるのなら、毒物ではなく、不治の病の新薬研究の話を一緒にするとか、親子の会話で子供の興味を広げていくこともできそうな気がするのですがどうでしょう。

 

思春期以降の子どもとの親子関係は簡単ではなさそうだけれど・・・

 

私の子供はまだ思春期を迎えていないので、思春期以降の子供との親子関係がわかっていないこともあるかもしれません。

 

「健全な方へ導いてあげられるのではないか」という私の考えは、思春期の以降のお子さんを持つ方からすると、「そんな簡単なものではないよ」と思われたりするかもしれませんね。

 

私にはアスペルガー症候群(現在は自閉症スペクトラム障がいに含まれています)の娘がいますが、娘を見ていて思うのは、物事の興味の持ち方が変わっているな、ということです。

 

幼児なのに、多くの幼児が好むテレビ番組が好きではなかったり、モノの材質(プラスチック、鉄、ステンレス、ゴムなど)を確認したがったり。

 

子供の興味にできるだけ寄り添ってあげて、世界を広げてあげることで、それがどこかで社会との接点になればよいな、と思っています。

 

映画「タリウム少女の毒殺日記」

 

映画「タリウム少女の毒殺日記」は2005年の静岡の事件をモチーフとした作品ですが、土屋豊監督は、主演の少女を「探しに探した結果、倉持(由香)さんにたどり着きました」と話しています。

 

私はなんとなく、「アスペルガー アイドル」というワードで検索してたどり着いたから倉持由香さんに決まったような気がしてならないのですが。。。

 

この映画の公式サイトでは、「アスペルガー症候群」という言葉は出てきませんし、Facebookの映画紹介ページにもありませんでした。

 

「タリウム少女の毒殺日記」は、東京国際映画祭で「日本映画・ある視点」作品賞を受賞しました。

ロッテルダム国際映画祭に正式出品され、その後も海外の映画祭への出品オファーが相次いでいるそうです。

 

海外でのタイトルは「GFP BUNNY」というそうですが、GFPって何だろうと思って調べたら、遺伝子操作によって緑色に光るウサギだそうです。

 

GFPとはクラゲから抽出される緑色蛍光タンパク質で、GFPカエルやGFPねずみなどが誕生しており、細胞が緑色に光ることで、生きた細胞を観察し、研究に役立てることができるのだそうです。つまり実験動物ということですね。

 

タリウム少女が実験と観察が大好きだったところから「GFP BUNNY」というタイトルになったのでしょうか。
海外向けのプロモーションは、エグさとグロさをさらに強調しているように感じます。

 

 

「タリウム少女の毒殺日記」は、渋谷のアップリンクで2013年10月まで上映しています。

 

 

関連記事(1):容疑者がアスペルガー症候群だったアメリカの小学校での銃乱射事件
関連記事(2):アスペルガー症候群のアイドル、倉持由香さんのニュース(自画撮り)を見て

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