自閉症の妹をお兄さんが記録した映画「ちづる」を見ました。
2019/01/29
(この記事は、2013年11月19日に書いたものです。)
映画「ちづる」は、自閉症の妹、千鶴さんに、そのお兄さんが大学の卒業制作としてカメラを向けた映画です。
障がい児を育てる親が先のことを考える時の不安
この作品に登場した当時、千鶴さんは20歳を迎える頃でした。
(成人式に行く行かないのやりとりが作品中にありました)
私にも発達障害の娘がいるので、大きくなった娘と自分はどんな生活を送っているのか、と想像すると、期待よりも不安や心配の方が大きく、先を想像することを怖く思ったりします。
映画「ちづる」では、20歳になる千鶴さんとお母さんが二人で暮らしており、外の自動販売機にお散歩がてらジュースを買いに行ったり、近所のスーパーにお買い物に行ったりする他は、ほとんど家でお母さんと過ごしているという、ひきこもりに近い状態を、心配しているお兄さんの様子が描かれています。
私の娘も、幼稚園の登園を嫌がったり、集団が苦手なので、ひきこもり状態の千鶴さんを見て、将来の私と娘を予期してしまい、映画を見た後は絶望のような気持ちがしていました。
この子をこのままずっと養ってあげなければいけないのだろうか。
親が死んだ後、この子はどうやって生きていけばよいのだろうか。
いつも心のどこかに押し込んでいた不安が、映画を見たことで溢れ出てきました。
千鶴さんのお母さんの本を読んで
映画を見た後、しばらくこの作品について振り返って考えたりする心の余裕が持てなかったのですが、本屋さんで『ちづる- 娘と私の「幸せ」な人生』という千鶴さんのお母さんが書いた本を手に取り、「自分の人生は、なかなか幸せな人生ではないかと思う」と綴られているのを見て、私は自分と娘との関係をもう一度見直してみようと思うようになりました。
癇癪持ちで、奇声をあげてばかりいる娘と、四六時中一緒にいることは、私にとっては正直苦痛で、幼稚園へ行ってくれたり、療育へ行ってくれたりしているおかげでどうにか心の安定を保っているようなところがありました。
しかし、娘が社会とどうしても関われなくなったとき、私は娘と共に過ごさなければならないし、娘が長い期間家にいても、お互いに良い関係が築けるような方向へ、努力していくべきなのかもしません。
療育は、とかく社会とうまく関わるようにする方向へ行きがちなのですが、家の住人と穏やかに暮らす、という目標も長い人生では大切だということに気付きました。
監督であり、千鶴さんのお兄さんである赤﨑正和さん、千鶴さんのお母さんである赤崎久美さん、大切なことに気付かせてくださって、心から感謝しています。
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